tomokoの音楽暦 第8回 「ジャムセッション~ロサンゼルス武者修行」

 

 

 

 

 

ジャズプレーヤー達はジャムセッションに夜出かけに行く。
お店にシンガーを含めて演奏者が集い、みんなで順番に
スタンダード曲を即興演奏しあう。

演奏者は人と合わせることで上達する。
ジャズ特有の即興演奏はそうした練習を重ねて
深みのあるものになるのだろうなぁ。

ロサンゼルスではたくさんの場所で夜、ジャムセッションが行われている。

歌の場合は、歌手のキー(調)に合わせないとならないため
インストルメンタルプレーヤーから敬遠されているように思えた。
だからシンガーでジャムセッションに行く人は少ないのだ。

でも武者修行だと私は一人、ジャムセッション廻りをしていた。

歌いたい曲を歌わせてくれる。
もちろん自分のキーを伝えるのだ。
ありがたいことに私に合わせて皆が演奏してくれる。譜面などなした。

ある夜、ロサンゼルスダウンタウンよりも南に行った。
地図を見ながら車で運転していく。
店に近づいてくると雰囲気が悪くなってきた。
長く住んでいるとどこが治安が悪いのかはわかってくる。
感覚的にここは危ないと感じるのだ。

その店に入ると、中はブラック(黒人)だらけ。
昔からある店で常連のお客、演奏者がいた。
店の中はアットホームだった。

アジア人の私が 『Stormy Weather/曇り空』
ジャズのスタンダード曲を歌った。
ブラック特有の温かい音が伴奏となってくれた。
知らない人でもすぐに心が繋がった感じになる。

人懐っこいブラックのおばちゃんが涙目で
こんな素晴らしい『曇り空』を聴いたことがない。
と私の手を取って伝えに来てくれたのだ。

その表情と手の温もりは一生忘れない。

tomoko

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