トモコヴォイス会報誌vol.89

「10年」
ー私の変革期、振返り、これからの十年ー

英語で十年という意味の「decade」ディケイドという言葉がある。
節目としてわかりやすい時間単位なのかもしれない。

私は十三年前の三月、八年の音楽生活をしたロサンゼルスから帰国した。
桜も咲いて、新生活がはじまるっといった雰囲気の春だ。

アメリカでもしていたように、自分のオリジナル音楽をつくりたいと
音楽レーベルに所属しながら、作曲、アレンジ活動、ロサンゼルスの
友人とのレコーディングをしてCD作成、そのための営業演奏、
ラジオパーソナリティなど日本の商業音楽制作にも携わった。

すべて自分のやりたいことのため、道を探し模索し、
邁進していたつもりだった。

気づくと帰国から三年が経っていたが、
それは私がやりたいような音楽活動ではなかった。

睡眠もちゃんととれずに、仕事をし疲れきって、
それでもやらないといけない日々の状況に自分を追い込んでいた。

その時の私は精神、身体ともに健康でなかった。

こういう状況に陥ったのも今思えばすべて自分の責任で、
それを選択したのは自分だ。

「井の中の蛙大海を知らず」

私はアメリカまで行って自由奔放に音楽をやっていたのに
(大海を知っているのに)
日本にきて井の中の蛙になってしまった。

そこから抜け出すことは恐れ多くて、
そんなこと、できないって感じてしまっていた。

でもその後突然訪れた父の死が、私に変革を起こさせた。

父の通夜、告別式は、本当に周りの人の手助けがあり進めることができた。

私は、近所の人、友人、親戚、みんなのおかげで、生きていられた。
自分の体を起こし二本の足で立つことができた。

それほどの落胆だった。

どれだけ、みなさんに支えられたか、
ありがとう、ありがとうの感謝の気持ちで今も胸が詰まる。

告別式の二日後に、また自分の嫌な現実と向き合わなくてはいけなかった。

不思議な世界と感じた。
まるで私も一度死にあの世界から下界に来たように、
あらためて自分が置かれている現状を客観視することができたようだった。

もういままでのようには振る舞えない。

嫌に生きる必要なんてないんだとわかった。
それが自分の中で府に落ちた。
本当に納得いったのだ。

嫌な感情をずっと持ったままなんて、つらい。
つらく生きるなんてしなくていいんだ。

嫌なものは排除していい。
その方法を探し出せばいいんだと。

そのために人の力も必要なら人に頼む。
ひとりでは人間生きていけないんだと身にしみてわかった。

このときの爆発するようなエネルギーが、私の原動力となった。

私は変わった。
自由になることができた。

リリスホールでの演奏、私のアルバム「fly to the sky」もできていった。
好きな仲間と自由に演奏できる。
自分のコンサートも続けてこれた。

人間は「感情」と「知識」、行動を起こすための「少しの勇気」で
きっとなんでもやりこなせるのかもしれない。

勇気がいっぱい必要だよって時は、もしかしたら恐れがあるからかもしれない。

時にその恐れは知らないこと(無知)が原因になる。
それがわかると冷静になり、恐れがどういうものだったかわかる。

知識によって恐れが軽減されるのだ。
悪い感情は冷静になれたら知識でコントロールできる。

そしてすこしの勇気があれば行動へ移していける。
私はそれを実感してきた。

父が亡くなって今年で十年が経つ。

この間、私自身が変わったからか、随分と自分をとりまく環境も変わった。
結婚と出産を経験し、二児の子育てしている。
リリスホールでの定期コンサートも続けてきた。

またこれからの十年はどう変化するだろう?

生きていれば、必ず進化しているのだろう。
次のアルバム作りたいし、たくさんの音楽まだまだやりたい。

あ~、私は幸せだ。(^0^)/

tomoko
トモコヴォイス紙面会報誌 vol. 89 より
(2015年4月5日)

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