トモコヴォイス会報誌vol.5
「レコーディング」
中学生の頃 「USA for AFRICA We are the world」のメーキングビデオを見て
感動しました。
マイケル・ジャクソン、スティービー・ワンダーをはじめとする
アメリカのアーティスト達の表現の豊かさ、自然に楽しんでいるその姿に、
いいなぁ素敵だなぁ、
その人たちと同じように音楽を感じたい表現したい
と身体の中から、そういう気持ちが湧き上がってきました。
その感動が私を動かしたのか、短大を卒業後、ロサンゼルスへと渡米しました。
HollywoodにあるMusicians Instituteという学校に入りました。
お金もあまりなかったので入学する時にピアノ弾き語りを
先生の目の前で聴いてもらい、ここまで出来るからとお願いして
一つ上のクラスに入らせてもらいました。
半年分だけ授業料を払い、その後はありがたいことに奨学生となり
お金を払わずに2年ほど在学できました。
ここにくれば世界各国から来ているミュージシャン、アーティストに
会えると思ったんです。
まさに、その通りでした。
たくさんの出逢いがありました。
『fly to the sky』の Rafael (ラファエロ)もその一人です。
その学校でCarl Schroeder(カール・シュロダー)に会いました。
大御所のジャズヴォーカリスト、サラ・ボーンのピアニスト、
ミュージッックマスターも務めた人です。
学校創立初頭からこの学校で教え始めた名物先生です。
彼は独特な方法で生徒に Jazz を教えています。
熊のように背が高く大きくて音楽に関してはとても厳しく、鋭い!!
でも、冗談を言ったり、おどけてみたりして、優してくて私にとって
音楽の父のようです。
たくさんの生徒の中で私はありがたいことにシュロ
(彼のことをこう呼んでいました。)
とマンツーマンで授業を受けていました。
彼のピアノは本当に素晴らしく、綺麗なピアノの旋律から映像が浮かび、
その上で歌っていると大きな安心感があり、ほっとします。
いつも授業ではそんな感覚でした。
In Blue の 『Silence』のレコーディングはシュロのおかげで出来ました。
それまでたくさんレコーディングをこなしていましたが、
エンジニアにより出来上がる音の仕上がりが違うことに気づいたのです。
それを彼に話したところ素晴らしく、本当にすご過ぎる人を紹介してくれました。
Bernie Kirsh (バーニー・カーシュ)です。
彼は、Jazzの一流人と仕事をします。
たくさんの名盤を作る仕事をこなしてきたという貫禄がありました。
しかし謙虚で優しい。
エンジニアに必要な冷静な判断の持ち主なんだと思います。
1998 年 8 月にロサンゼルスの山腹にあるスタジオで
レコーディングは行われました。
彼の仕事ぶりには本当に圧巻でした。
生の楽器を取るためマイクのセッティング位置により
音色は良い音にも悪い音にもなります。
彼は一発で良い音を探し当てるんです。仕事すべてが一流で感動でした。
少ないレコーディング時間の中、私はなるべくみんなに迷惑がかからないように
3 回ほどの録音で歌を仕上げました。(今聴くとまだまだ未熟です。)
バーニーに録音された音は、CDになるためマスタリングという過程を踏みます。
今度はバーニーに紹介してもらいました。
マスタリングエンジニアの Alan Yoshida (アラン・ヨシダ)です。
なんと中学生の時にみたWe are the worldのスタジオ A&M Studioで
作業が行われたのです。
その場所に行けたこと、また彼の仕事も素晴らしかったです。
一流の仕事と人を通してアルバムは出来上がり、シュロの元へ持っていきました。
面白いです。
ひとつのアルバムレコーディングでたくさんの人の繋がりを感じます。
こんなにたくさん感動、経験できたことを感謝します。
〜ありがとう。
シュロは Keep singing (歌い続けなさい)と私に言ってくれました。
その言葉がいつも私の心にあるんです。
8月のコンサートの日、シュロから「tomoko元気か?」と
ロスの友人からメールが届きました。
〜嬉しい誕生日プレゼントでした。
tomoko
トモコヴォイス紙面会報紙 vol.5より
(2006年9月7日)
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